安倍前総理の体調不良による突然の辞任表明で、政治的空白を作ってはならないと、総裁選も短期間と投票者も限定された中で、党内で圧倒的な支持を集め菅義偉総理大臣が誕生しました。
新たに発足した菅義偉内閣の政策、閣僚人事、支持率、解散時期などを調べてみました。
安倍前内閣と政策はどのように違うのか、菅義偉内閣の独自の政策は?
新たな組閣人事で誰が大臣になるのか、また解散時期はいつなのかなどを、詳しく調べてみましたので、紹介していきます。
菅義偉内閣誕生での政策は?
- デジタル化
- コロナ対策
- 少子化対策
- 携帯料金値下げ
16日に首班指名されて、第99代内閣総理大臣に就任した菅義偉内閣総理大臣。
菅義偉内閣の政策は、基本的な路線としては安倍政権の政策を踏襲することが考えられています。
しかし、総裁選の折には次の4項目について独自の政策を発表し、今後予想される菅義偉内閣としての政策4本柱を見ていきましょう。
政策①デジタル化
14日の総裁就任後の記者会見で、デジタル庁新設を表明しました。
現在も各省庁に分散しているデータを統合し、柔軟に利活用できる仕組みを築く考えだそうです。
これまで省庁の縦割り行政の弊害で、各省庁で持っている情報は他省庁に提供されることは少なく、必要な時には新たに情報収集をしなければならず、スピード感をもって政策に対応できておりませんでした。
今回新設されたデジタル庁はこれらの問題を解決し、必要な時に情報が効果的に運用できるようデジタル庁の新設を図り、今後は法改正に向け準備を行っていく予定です。
その中で
マイナンバーカードを健康保険証として使用可能できることを検討(2021年3月)
マイナンバーカードさえあれば、24時間365日役所に行かなくてもいいようにしたい考えです。
これまでのところマイナンバーカードの普及率は約19%であり、コロナ禍での特別定額給付金や雇用調整助成金の給付を巡って、その普及率の低さが指摘されていました。
現在は、運転免許証との一体化や銀行口座とのひもづけも検討しています。
マイナンバーカードと免許証の一体化は嬉しい反面、そのカードの特性の違いから、一体化は難航するとも考えられます。
新設される予定のデジタル庁もマイナンバーカードの利用率向上に向け、同カードでの行政手続きの簡素化を実現するために取り組むとみられます。
政策②コロナ対策
コロナ対策としては安倍政権の政策を継承し、経済活動との両立を最優先に取り組む考えを表明しました。
日本記者クラブ主催の討論会で、菅義偉総理(当時官房長官)は給付金について話をしました。
新型コロナウイルス対策として必要であれば給付金を追加する考えを示している
菅義偉総理は、これで収まらなければ、そこは徹底して次の手というのは打っていくと述べ、必要であれば政府としてしっかり対応していきたいと追加給付金についても発言しています。
まだまだ収束の様相を見せないコロナ禍に対し、経済活動へはどのように取り組むのか、具体的な政策は今後の感染状況を見極めた上での判断となるようです。
政策③少子化対策
少子化対策としては不妊治療の保険適用を目指す考えを示しています。
不妊治療には不妊の程度によって、費用も大きく異なります。高額な生殖医療では1回に30万~60万円かかるとされています。
体外受精や顕微受精による出産成功率は20%前後とされ、複数回繰り返すことで費用負担のリスクも高くなります。
インターネットによるアンケート調査によると、高度生殖医療でかかった平均費用は約193万円だそうです。
これが菅義偉総理のプランによって保険適用されると3割負担になり、高額療養費制度の併用により、大幅な負担減が期待され安くなるメリットは十分あるということです。
これにより諦めかけていた結婚や出産に対し歯止めがかかり、希望が持てる未来を作れるかもしれません。
政策④携帯料金値下げ
菅義偉総理は官房長官時代から取り組んできた携帯電話の料金引き下げについても、国民のために更に便利で使いやすく安いものを提供する考えのようです。
しかし、携帯大手3社に対しての、この恫喝ともいえる発言の内容は、様々な波紋を広げています。
公共料金で儲けるなとの発言は、NHKの受信料に対しても同様なのではとの声も聞かれます。
確かに料金の引き下げは魅力ではありますが、現在は端末料金の値が下がらず10万円を超えるのも事実です。
NHKは日中ほとんど見ることがない割に高すぎる料金設定に対しても、メスを入れてほしいとの声も聞かれるため、総合的なバランスの取れた改革を望んでもらいたいです。
携帯料金4割値下げを持論とする菅義偉次期首相ですが、この問題は今後の議論を含め取り組みに対して注目したいですね。
菅義偉内閣閣僚人事は?
今回発足した第1次菅義偉内閣の閣僚人事が発表されました。
全ての閣僚名簿については下記の通りになります。
副総理財務相
麻生 太郎(79)
再任
自民|麻生派
昭和15年9月20日
衆・福岡8区(当選13回)
総務相
武田 良太(52)
ポスト変更
自民|二階派
昭和43年4月1日
衆・福岡11区(当選6回)
法相
上川 陽子(67)
再入閣
自民|岸田派
昭和28年3月1日
衆・静岡1区(当選6回)
外相
茂木 敏充(64)
再任
自民|竹下派
昭和30年10月7日
衆・栃木5区(当選9回)
文科相
萩生田 光一(57)
再任
自民|細田派
昭和38年8月31日
衆・東京24区(当選5回)
厚労相
田村 憲久(55)
再入閣
自民|石破派
昭和39年12月15日
衆・三重1区(当選8回)
農水相
野上 浩太郎(53)
初入閣
自民|細田派
昭和42年5月20日
参・富山選挙区(当選3回)
経産相
梶山 弘志(64)
再任
自民|無派閥
昭和30年10月18日
衆・茨城4区(当選7回)
国交相
赤羽 一嘉(62)
再任
公明
昭和33年5月7日
衆・兵庫2区(当選8回)
環境相
小泉 進次郎(39)
再任
自民|無派閥
昭和56年4月14日
衆・神奈川11区(当選4回)
防衛相
岸 信夫(61)
初入閣
自民|細田派
昭和34年4月1日
衆・山口2区(当選3回)
官房長官
加藤 勝信(64)
ポスト変更
自民|竹下派
昭和30年11月22日
衆・岡山5区(当選6回)
復興相
平沢 勝栄(75)
初入閣
自民|二階派
昭和20年9月4日
衆・東京17区(当選8回)
国家公安委員会
小此木 八郎(55)
再入閣
自民|無派閥
昭和40年6月22日
衆・神奈川3区(当選8回)
1億総括躍相
坂本 哲志(69)
初入閣
自民|石原派
昭和25年11月6日
衆・熊本3区(当選6回)
行政改革相
河野 太郎(57)
ポスト変更
自民|麻生派
昭和38年1月10日
衆・神奈川15区(当選8回)
一億総活躍相
坂本 哲志(69)
初入閣
自民|石原派
昭和25年11月6日
衆・熊本3区(当選6回)
五輪相
橋本 聖子(55)
再任
自民|細田派
昭和39年10月5日
参・比例(当選5回)
デジタル相
平井 卓也(62)
再入閣
自民|岸田派
昭和33年1月25日
衆・香川1区(当選7回)
万博相
井上 信治(50)
初入閣
自民|麻生派
昭和44年10月7日
衆・東京25区(当選6回)
今回の菅義偉内閣では、閣僚が1人増えて20人になりました。
これは2025年の大阪万博を見据えた特措法に基づいて担当大臣が置かれることになったためです。
今回の内閣で初入閣となるのは5名、安倍前内閣と同じポストでの再任が8名、ポストを変えて引き続き閣僚を務めるのが3名、閣僚経験者の再入閣が4名となっており、参議院から2名、女性の閣僚は前政権と同じ2名となっています。
今回20名の閣僚の内、無派閥の閣僚が3名となっており、今後無派閥の閣僚が増えていくのかにも注目したいですね。
しかし、今回の閣僚人事において、早くも火種となるような人事も見え隠れします。
その一つが初入閣の防衛大臣である岸信夫氏です。
並み居る入閣待機組を後にして、当選回数3回の入閣資格は満たしているとはいえ、岸信夫氏が入閣するのは少し早すぎるのではないかとの気がしないでもありません。
この岸信夫防衛相は安倍晋三前総理の実弟であり、母方の岸家へ養子に入った方です。
安倍前総理への気遣いもあるのではないかとの気がしてなりません。
また新設されたデジタル相ですが、就任した平井卓也大臣は、国会審議中にタブレットを使いワニ動画を見ていたことで追及があったことでも知られており、今後の国会審議の中でも
野党から追及されることも予想されます。
更に、国家公安委員長の小此木八郎氏ですが、父親が菅義偉総理が秘書をしていた故小此木彦三郎氏の三男であり、自身が仕えた父親へのお礼の気持ちもあるのか、何か因縁めいたものも感じます。
期待が込められた菅義偉内閣ですので、しっかりと身辺調査をしていただき、お友達内閣や忖度内閣などと呼ばれないでほしいです。
菅義偉内閣最新支持率は?
毎日新聞と社会調査研究センターは9月17日にJNNと共同で、菅義偉内閣の発足を受けて世論調査を実施しました。
現時点での菅内閣支持率は64%です。
総裁選に立候補した3名の中で、事前に調査された世論調査では菅義偉総理の支持率が38%と最も高く、次の首相にふさわしい人とされました。
就任直後の支持率に関しては、過去の政権をみても平均して発足時の20~30%上昇しているのが通例です。
今回、党内の7割の票を獲得して総裁に就任した菅義偉総理ですが、今回は安倍前総理が辞任表明した直後に支持率が上昇したばかりであり、それを更に超えて上昇するのかどうかは、今後の世論調査をチェックしていきます。
菅内閣の任期は?解散総選挙はいつ行う?
菅義偉内閣の任期は、来年10月には衆議院が任期満了を迎えるため、約1年の任期となります。
しかし8月末で安倍政権への支持率が20%以上もアップするなど、異例の爆上げ状態が続いています。
この支持率上昇を背景に、解散総選挙を求める声も自民党内には見られます。
以前から10月解散総選挙の声も聞かれていたため、第1次菅義偉内閣の任期は短いのではないかとも思われています。
ただし、今後行われる新政権に対する世論調査の結果や、コロナウイルスの感染の拡大状況によっては、収束していない状況での解散は逆に支持率を下げる可能性があるために、慎重な見極めをするのではないかと思われます。
菅義偉総理も「新型コロナウイルス問題を収束してほしいということと、経済を再生させてほしいというのが国民の大きな声だ。
せっかく総裁に就任した。仕事をしたいので、収束も徹底して行っていきたい。
収束したらすぐやるかというとそんなことでもない。全体を見ながら判断したい」と述べるなど、解散について慎重な姿勢のようです。
解散総選挙や党の勢力拡大については、今国民が望んでいるわけではなく、地に足をつけたしっかりとした政権運営をしてもらい、安心安全な生活基盤を造ってもらいたいです。
まとめ
- 菅義偉内閣の政策は安倍政権の政策を継承する見込み
- 菅義偉内閣の独自政策は、デジタル庁の新設、コロナ禍の対応、少子化対策、携帯電話料金の値下げの4つ
- 菅義偉内閣の閣僚は1人増えて20人
- 菅義偉内閣の任期は来年の10月末で、解散時期については今後の支持率やコロナ禍の収束度合いによるといわれている
今後、菅義偉内閣として新たな政策を更に打ち出すのか、また解散総選挙は年内に行われるのかなど、今後ますます目が離せない菅義偉内閣に対し、今後の動向を注視していきます。