2021年9月17日に、2021年自由民主党総裁選が告示され、河野太郎議員、岸田文雄議員、高市早苗議員、野田聖子議員の4人が立候補、同月29日の投開票で新総裁が選出され、岸田文雄氏が新総裁となりました。
このままいけば10月4日の臨時国会で第100代の内閣総理大臣は、岸田文雄氏に決まります。
自民党の総裁、イコール、日本の総理大臣と言っても過言ではありません。しかし、総裁は内閣総理大臣として多忙を極めています。党内に関する業務の一切を幹事長に一任しています。
そのため。強大な権力を持つ幹事長のポストを巡って、熾烈な政治競争が繰り広げられます。勝ち抜くためには、総裁選挙で新総裁に成人を応援していたのか、同じ派閥にいるのか・あるいは、仲の良い派閥にいるのか、という微妙な人間模様が展開されています。
この記事では、新総裁のもと自民党の新幹事長が、誰になるのかを予想していきたいと思います。どの議員が自民党内のどの派閥に所属しているかについても、簡単に解説していきます。
二階幹事長交代候補は誰?
- 甘利明自民党税制調査会長
- 安倍晋三前首相
- 麻生太郎副総理兼財務相
- 萩生田光一文部科学相
今回の総裁選挙では、旧来の各派閥による結束力の強さが見られない事態となっており、細田派も麻生派も任意投票とするなど、同一派閥の中でも特定の候補を応援していません。
そのため、今回の総裁選の結果が予想しにくい事態に発展しています。
その中でも、二階幹事長の次になる幹事長が誰なのか?ということが気になるわけです。
そこで幹事長として、考えられる4名を取り上げて考察していきます。
甘利明が幹事長になる可能性とその未来は?
甘利明議員が新幹事長となるには、2通りのパターンがあると考えられます。
ひとつは、河野太郎行革担当大臣が新総裁となるパターンです。
河野太郎行革担当大臣と同じ、麻生派の派閥に所属する甘利明議員を新幹事長に据え置くことで、党内での麻生派の求心力を高めようと動くでしょう。
しかし、甘利明議員と麻生派のリーダー・麻生太郎前首相が、岸田文雄議員を支持していることから、事実上、麻生派内で分裂が起きている状況では実現性は低いでしょう。
加えて、河野氏は菅首相や二階派、石破グループからの支持を得ています。
河野行革担当議員が、新総裁になった際の党幹部・閣僚人事は総裁選を支持した派閥による熾烈なポスト争いの末に、決定される可能性が高いです。
もうひとつのパターンは、岸田文雄議員か高市早苗議員が新総裁となるパターンです。
前述の通り、甘利明議員や麻生前首相は、岸田文雄議員の支持を表明しています。
岸田氏が新総裁に選出した際には、選挙戦で担いだ際の見返りとして、派閥の有力議員に何かしら閣僚や党のポストにつけることが考えられます。
しかし、幹事長の重要ポストは、岸田派の議員を優先して、据え置かれる可能性の方が高いため実現性が高いとは言えません。
高市早苗議員が新総裁に選出して、安倍前首相からの口利きがあったとしても、麻生派の甘利明議員に白羽の矢が立てられる可能性は低いかもしれません。
甘利明議員は、1949年生まれの72歳です。戦国時代の武田四天王の一人で、知られる甘利虎泰の子孫として知られています。
慶應義塾大学法学部を卒業後、ソニーに就職するも父・正の秘書を務め、地盤を引き継いで1983年に衆議院議員となっています。
1998年に小渕内閣にて労働大臣で初入閣を果たし、経産大臣、行革担当大臣、経済再生担当大臣などを歴任しています。
安倍晋三が幹事長になる可能性は?
安倍晋三前首相が、新幹事長になる可能性は低いです。なぜなら、過去に総理経験者が幹事長になったこと事例がありません。
安倍前首相の経歴をおさらいしましょう。
安倍晋三前首相は、1954年生まれの66歳です。成蹊大学を卒業後に神戸製鋼に勤めています。
同社を退職後は、父・安倍晋太郎外務大臣の秘書官を経て、父の政治基盤を引き継いで、1993年に衆議院議員となりました。
初当選から10年後の2003年、小泉純一郎総理(当時)から自民党の幹事長に抜擢されています。そして2006年には、第90第内閣総理大臣に就任します。
健康上の理由で在任期間は、1年の短い内閣となってしまいます。
続く第二次安倍内閣は、2012年から2020年まで3期連続で在任しており、第一次安倍内閣と合わせて、総理在任期間が過去最長となりました。
特に、第二次安倍政権で行われた経済政策”アベノミクス”により、日経株価指数は上昇したものの、政府が目標に掲げていた消費者物価指数の2%の物価上昇は実現しませんでした。
その他、”地球儀を俯瞰する外交”政策に、一定の評価を得ることができています。今回の<自民党総裁選では、安倍前首相ご自身は高市早苗議員の支持を表明しています。
高市早苗議員が新総裁に選出した際には、強い影響力を持つ総理経験者の安倍前首相から高市議員に新幹事長への推薦が考えられます。
推薦される人物は、安倍前首相自身がリーダーを務める自民党最大派閥の細田派の有力議員と考えるのが良いでしょう。
候補者として、羽生田光一議員が有力視されます。
また、安倍前首相と盟友関係にある麻生太郎首相による手回しにより、麻生派の有力議員である甘利明議員が、新幹事長に選出される可能性も大きいと考えて良いでしょう。
麻生太郎が幹事長になる可能性は?
麻生太郎議員が新幹事長になる可能性は低いと考えられます。
理由はすでに総裁も幹事長も経験されているからです。2007年から2008年の第一次安倍内閣および福田内閣の時に麻生太郎議員は短期間ながら自民党の幹事長を務めています。そして2008年の福田内閣退陣後に自民党総裁になり、第92代内閣総理大臣を務めています。
幹事長・総理大臣を経験している派閥トップの麻生氏がこの先に自ら幹事長になることは考えにくいです。
ここで、麻生太郎元首相の経歴を確認しましょう。麻生太郎元首相の出自は華麗なる一族です。教科書に載る人物名がズラリ。
まず高祖父(ひいお爺ちゃんのお父さん)に維新三傑のひとり・大久保利通がいます。さらにお爺ちゃんはサンフランシスコ平和会議で日本の独立を果たした吉田茂。妹さんは三笠宮寛仁親王妃信子殿下、皇族です。
麻生太郎元首相は政界に入る以前は株式会社麻生の代表取締役社長を務めていた経歴があり、社長業務の側でクレー射撃競技の日本代表選手として1976年のモントリオールオリンピックに出場しています。ちょっと私たち一般市民にはついていけないくらいの家柄の人物ですね…。
さて、そんな麻生元首相が代表を務める麻生派から今回の自民党総裁選の候補に河野行革担当大臣が立候補しています。
しかし、自身は岸田文雄議員を支援する意向を示し、派閥には任意投票を呼びかけています。
加えて、河野行革担当大臣の支援に名乗りをあげているのが、石破茂元幹事長と二階俊博源幹事長、そして菅首相です。麻生元首相からいずれも距離の遠い支持者が河野行革大臣を担いでいることから、仮に河野大臣が新総裁に選出されたとしても、麻生元首相からの指示で麻生派議員を幹事長のポストに誰を据え置くことが難しいです。
前述の通り、岸田文雄議員、高市元総務大臣が新総裁に選出された場合に影響力を発揮する可能性の方が高いと考えられます。
萩生田光一が幹事長になる可能性は?
萩生田光一文科大臣は、早稲田実業高等部卒業後に、明治大学商学部に在学中から八王子市長の議員秘書として政治の世界に入っていました。
27歳で八王子市議会議員に当選、その後は東京都議会議員を経て衆議院議員に選出されています。
官房副長官や内閣人事局長や文部科学大臣の閣僚を歴任する傍ら、自民党の幹事長代行も務めた経験があり、安倍前首相の側近のひとりとして、自民党内での存在感が高まってきています。
萩生田光一文科大臣は、今回の総裁選で誰を応援しているかは明言を避けています。
所属派閥の細田派は任意投票としながらも、安倍前首相から高市早苗議員への支持を呼びかけています。
萩生田光一文科大臣が新幹事長になる可能性を考えると、高市早苗が新総裁となった場合にキングメーカーとして、安倍さんが側近の一人である萩生田光一議員を推挙する可能性が高いでしょう。
加えて、今は無派閥の高市早苗議員も、かつては細田派に所属していました。
古巣の細田派への恩返しとして、萩生田光一文科大臣を新幹事長として迎え入れることは十分に考えられます。
その他の候補が新総裁となった場合、新幹事長に萩生田光一文科大臣が選ばれる可能性は低そうです。
↓新首相に決定!
まとめ
自民党の新幹事長は、誰が新総裁に選ばれるかによって、結果が変わると予想します。
- 岸田文雄議員か高市早苗議員が新総裁に選出されると、次の自民党の幹事長に甘利明議員がなる可能性が高い
- 総理経験者の安倍晋三前首相が自民党の新幹事長になる可能性は極めて低い
- 麻生太郎前首相が自民党の新幹事長になる可能性は極めて低い
- 高市早苗議員が新総裁に選出されると、次の自民党の幹事長に萩生田光一文科大臣がなる可能性が高いです。時点で甘利明議員が選出される可能性があり